無形文化財について
(1)文化財とは
人間は、生活していく中で、様々な物や習慣を作り上げてきました。その人が作り上げてきた物や習慣の中から、歴史的、芸術的、学術的に価値の高いものを文化財と呼び、国や、県によって指定されています。文化財は文化財保護法の中では大きく5種類に分類されています。
(有形文化財) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書籍、古文書など
(無形文化財) 演劇、音楽、工芸技術、空手・古武術など
(民俗文化財) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗習慣、民俗芸能など
(記念物) 史跡、名勝、天然記念物
(伝統的建造物群) 昔を偲ばせる建物が多く存在し、周囲の環境と一体になって歴史的景観を形成している地域
(2)無形文化財とは
無形文化財とは、伝統的な工芸技術など、形のない「技」や「技術」を指し
ます。その中で、特に、芸術的に価値が高いもの、歴史的・学術的に価値が高いものが無形文化財として国や県によって指定されています。他の分野の文化財では、具体的なものが指定されていることに対し、無形文化財は「技」や「技術」そのものが指定されます。その「技」や「技術」を具体化するために、技を体得している人や集団を、技の保持者として認定しています。つまり、無形文化財とは「技」や「技術」そのものを指しているのであって、人や集団を指しているわけではありません。また、無形文化財の指定と保持者の認定は不離
一体の関係にあります。
無形文化財の保持者について
文化財は、すべての人々の共有財産です。文化財を保存・継承するためには、保持者、行政だけでは不可能です。一般県民すべてが文化財に関心を持ち、保存するという意識がなければ、保存・継承は不可能です。その保存・継承活動の中心を担うのが保持者の皆さんです。 無形文化財の保持者とは、該当する無形文化財の「技」を高度に体現できる者、「技」を正しく体得し、かつこれに精通している者、という認定基準が示すとおり、その文化財に関してすべてを把握している者といっても過言ではありません。何時いかなる場合でも、その技量は常に最高のレベルが要求されます。
保持者に認定された方々の技量の高さは誰もが認めるところですが、これに甘んじることなく、常により高度の「技」を極めることをぜひ心に留めてほしいと思います。 保持者のもう一つの重要な仕事は、伝承者の養成です。すべての無形文化財は目に見えない「技」を指定しています。「技」は次代に伝えなければ衰退し、徐々に途絶えていきます。そのようなことにならないよう無形文化財によっては国や県が伝承者養成事業を実施し、次代の保持者候補者の養成を手助けすることもあります。しかし、技の継承を直接実施するのは各文化財の保持者です。保持者の皆さんが体得した「技」を伝承者に伝えていくことがそのまま無形文化財の保存・継承につながるのです。
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